「内定を出したのに、承諾の直前で辞退されてしまった」「内定式のあとも、本当に入社してくれるか不安」──採用担当の方から、こうしたお悩みをよくうかがいます。
内定辞退を防ぐ採用SNSとは、内定者が承諾の前に会社を調べ直したとき、「この会社を選んで正解だ」と確かめられる状態を公式SNSでつくっておくことです。この記事では、内定辞退の最新データ、内定者がSNSで確かめていること、辞退を防ぐための点検チェックリストと発信の流れを解説します。
この記事の要点
- 27卒の学生の56.2%が複数の内定を持ち、29.8%が9月時点でも就活を続けている
- 内定者は承諾の前に、会社のSNSで「面接で聞いた話と同じか」を確かめ直す
- 採用SNSは「止めない」「食い違わせない」「入社後が見える」の3点で点検する
- 個別フォローで信頼をつくり、SNSで「選んで正解」を確かめてもらう
- 内定から入社までの発信は、繁忙期に止まらないよう予約投稿で準備する
内定辞退とSNSの関係とは?承諾前に会社は「もう一度調べられる」
結論からいうと、内定者は承諾を決める前に、会社をもう一度調べ直します。そのときに見られる場所の一つが、会社の公式SNSです。
選考中は、面接官の話や説明会の資料が主な情報源です。しかし、内定が出て「本当にここでいいのか」と考える段階になると、学生は自分で情報を集めて答え合わせをします。採用SNSは、応募を集める入口であると同時に、内定承諾を後押しする「答え合わせの場所」でもあるのです。
投稿が止まったアカウントは、かえって不安を生む
選考が終わると、採用担当は面接や内定者対応で忙しくなり、SNSの更新が止まりがちです。ところが、内定者が見に来るのはまさにこの時期です。最終投稿が数か月前のままのアカウントは、「今は人を大事にしていないのでは」という印象につながりかねません。
内定辞退の現状をデータで見る

内定を出しても、学生の迷いはしばらく続きます。内定は「ゴール」ではなく、承諾まで比べられ続ける期間の始まりと考えたほうが安全です。
学生の約3割は内定後も就活を続けている
ABABAの「27卒 内定式直前・採用実態に関する意識調査」(2026年9月実施・27卒の学生809人)では、複数の内定を持っている学生が56.2%、9月の時点でも就活を続けている学生が29.8%でした。内定承諾後に就活をやり直した学生も29.6%で、前年より7.6ポイント増えています。
| 調査結果 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 複数の内定を持っている学生 | 56.2% | ABABA(2026年9月・学生809人) |
| 9月時点でも就活を続けている学生 | 29.8% | 同上 |
| 内定承諾後に就活をやり直した学生 | 29.6%(前年比+7.6pt) | 同上 |
| 内定式のあとも辞退の不安が残る企業 | 57.3% | ABABA(2026年9月・企業143社) |
| 選考辞退が「例年より増えた」企業 | 29.8% | i-plug(2026年9月・企業305社) |
内定辞退率が5割以上の企業は約4割
マイナビキャリアリサーチLabのコラム(2026年3月16日掲載)によると、マイナビの「企業新卒内定状況調査」で内定辞退率が5割以上だった企業は、2026年卒で41.5%でした。2022年卒の21.0%から、およそ2倍に増えています。辞退理由(複数回答)で最も多いのは「より志望度の高い企業から内定が出た」の49.8%です。
つまり、辞退の多くは「他社と比べて負けた」結果です。比べられたときに、自社の良さがきちんと伝わる材料を用意しておくことが大切です。
内定者が承諾前にSNSで確かめている4つのこと

内定者がSNSで見ているのは、「面接で聞いた話は本当か」「自分はここでやっていけそうか」の2点に集約されます。内定者の立場で考えると、確かめたいことは次の4つに分けられます。
- 会社がちゃんと動いているか:投稿が止まっていないか、最近の職場の様子が見えるか
- 面接で聞いた話と同じか:仕事内容・働き方・雰囲気に食い違いがないか
- 一緒に働く人の顔:配属先の先輩や、同期になる人がどんな人か
- 入社後の自分の姿:1年目の仕事や研修がイメージできるか
なかでも注意したいのが2つ目です。面接では「残業は少ない」と聞いたのに、SNSでは深夜まで働く様子が映っている、といった食い違いは不信感につながります。SNSの発信と面接での説明は、同じ内容にそろえておくことが前提です。
内定辞退を防ぐ採用SNSの点検チェックリスト
新しい施策を始める前に、まずは今のアカウントを内定者の目線で見直すことから始めましょう。追加の予算をかけずにできる点検項目をまとめました。
| 点検項目 | 見るポイント | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 最終投稿日 | 1か月以上止まっていないか | 選考の繁忙期の分も予約投稿しておく |
| 面接との一致 | 給与・休日・働き方の説明とSNSの内容が同じか | 面接官とSNS担当で伝える内容をすり合わせる |
| 人の見え方 | 配属先の先輩や若手社員が登場しているか | 職種ごとに1人は顔が見える投稿を用意する |
| 入社後の情報 | 研修・1年目の仕事・入社までの流れがわかるか | ハイライトや固定投稿にまとめる |
| プロフィール | 採用サイトや問い合わせ先へのリンクがあるか | 内定者が質問できる窓口も明記する |
| 古い情報 | 終わった募集や古い制度の投稿が残っていないか | アーカイブするか、最新情報を追記する |
プロフィールから採用サイトまでのつなぎ方は、採用SNSの導線設計で詳しく解説しています。特に最終投稿日は、内定者が最初に目にする「会社の今」です。止まっている場合は、ここから手を付けるのがおすすめです。
個別フォローとSNS発信の役割分担

内定者フォローの中心は、これからも面談や連絡などの個別フォローです。SNSはその代わりではなく、個別フォローを補い、いつでも確かめられる情報を置いておく役割を担います。
企業の内定者フォローは「定期連絡」が中心
i-plugの「27年卒の採用状況に関する調査」(2026年9月実施・企業305社)では、内定後フォローとして最も多かったのは定期的なメールや電話でのやり取り(60.3%)で、内定者懇親会(45.9%)、社員との交流機会の提供(38.4%)が続きました。
一方、マイナビの「企業新卒採用活動調査」で「効果があった辞退対策」を見ると、SNSの活用は5.2%にとどまります(内定者懇親会は59.6%)。SNSだけで辞退を防ぐのではなく、個別フォローと組み合わせて効果を出すものだとわかります。
連絡の「頻度」を補えるのがSNS
ABABAの調査では、内定者フォローへの不満の1位は「連絡の頻度が低すぎる」(18.0%)でした。人事が一人ひとりに頻繁に連絡するのは大変ですが、SNSで会社の様子を発信し続ければ、内定者は「会社とつながっている」と感じやすくなります。
内定後に発信したいコンテンツ5選

内定者向けの発信は、「入社後の自分」をイメージできる内容を中心にします。応募前の学生向けの投稿と比べて、より具体的で身近な情報が求められます。
- 1年目社員の1日:出社から退勤まで。入社後の自分を一番イメージしやすい
- 配属先の先輩紹介:「この人と働くのか」を先に知ってもらう
- 研修・入社までの流れ:やることが見えると、入社前の不安が減る
- 内定者イベントの様子:同期とのつながりを感じてもらう
- 先輩に聞くよくある質問:給与・休日・人間関係など、面接では聞きにくいことに答える
良い面だけを見せると、入社後のギャップにつながります。大変なことと、その乗り越え方もあわせて伝えると、信頼される発信になります。長めに伝えたい内容は、YouTube採用の始め方で紹介している長尺動画も選択肢です。
内定から入社までの発信の流れ

内定者の不安は、時期によって変わります。時期に合わせて発信のテーマを変えると、内定者が知りたいタイミングで情報が届きます。
| 時期 | 内定者の気持ち | 発信したい内容 |
|---|---|---|
| 内定直後 | うれしいが、他社とも迷っている | 内定のお祝い・入社までの流れ |
| 内定式前後 | 同期や先輩がどんな人か知りたい | 先輩・同期の顔が見える投稿 |
| 冬〜春 | 入社後の仕事がイメージできない | 1年目の1日・研修の様子 |
| 入社直前 | 配属や初日が不安 | よくある質問・配属先の紹介 |
繁忙期の分は前もって予約投稿しておく
内定者対応が重なる時期は、SNSまで手が回らなくなりがちです。余裕のある時期にまとめて撮影し、予約投稿しておくと、発信が止まるのを防げます。続けるための成果の見方は、採用SNSの効果測定もあわせてご覧ください。
弊社の支援について
弊社は、企業ごとに施策を変えながら採用の成果にコミットするSNS運用代行会社です。Instagram・TikTok・YouTube・Threadsのほか、採用媒体やMeta広告の運用にも対応しています。警備会社の支援では、ショート動画の企画から問い合わせ導線の設計までを担当し、採用問い合わせ200件超につながりました。応募を集める発信と、入社まで安心してもらう発信を一つの流れで設計することを大切にしています。
内定辞退とSNSでよくある質問
Q. 採用SNSで内定辞退は防げますか?
A. SNSだけで辞退を防ぐのは難しいですが、個別フォローと組み合わせることで効果が期待できます。承諾前に会社を調べ直す内定者に「面接で聞いた話は本当だった」と確かめてもらえる状態をつくることが役割です。
Q. 内定者向けにはどんな投稿をすればいいですか?
A. 1年目社員の1日、配属先の先輩紹介、研修や入社までの流れなど、入社後の自分をイメージできる投稿がおすすめです。面接では聞きにくい質問に先輩が答える投稿も喜ばれます。
Q. 採用SNSの更新が止まっていると、内定辞退に影響しますか?
A. 影響する可能性があります。内定者は承諾の前に公式SNSを見に来ることがあり、更新が止まっていると会社の今が伝わりません。繁忙期の分は前もって予約投稿しておきましょう。
Q. 内定辞退率はどのくらいが一般的ですか?
A. マイナビの企業新卒内定状況調査によると、2026年卒で内定辞退率が5割以上だった企業は41.5%でした。企業の規模や業種によって差があるため、自社の過去の数値と比べて見るのがおすすめです。
選考の途中の辞退も含めて減らしたい方は採用歩留まりの改善方法、入社後のギャップを減らす方法は採用ミスマッチの防止方法もあわせてご覧ください。
まとめ:内定後も「選んで正解」と思える発信を続ける
- 27卒の学生の56.2%が複数の内定を持ち、内定後も比べられ続ける
- 内定者は承諾の前に、会社のSNSで「面接で聞いた話と同じか」を確かめる
- まずは最終投稿日・面接との一致・入社後の情報を点検する
- 個別フォローで信頼をつくり、SNSで「いつでも確かめられる」状態にする
- 時期に合わせて発信テーマを変え、繁忙期の分は予約投稿で準備する
「内定辞退が増えていて、SNSで何かできないか知りたい」「今のアカウントが内定者にどう見えているか確かめたい」という方は、お気軽にご相談ください。就活生がSNSをどう見ているかは、就活生はSNSをどう見ている?でも詳しく紹介しています。
参考情報(2026年10月31日確認)
株式会社Add Value 代表
企業ごとに施策を変えながら採用の成果にコミットするSNS運用代行会社を経営。Instagram・TikTok・採用媒体・Threads・YouTube・Meta広告・簡易採用LPまで対応し、約20案件を並行支援。警備会社のSNS採用で問い合わせ200件超、支援先の月間再生数は1,000万回超えなどの実績を持つ。


