「SNS採用は新卒向けで、中途採用には関係ないのでは?」「求人広告を出しても、経験者からの応募が集まらない」──中途採用を担当する方から、こうしたご相談をいただくことが増えています。
中途採用のSNS活用とは、今すぐ転職するつもりはないが良い会社があれば考えたい「転職潜在層」に、仕事内容や働き方を日ごろから見せておき、転職を考えたときに思い出してもらう採用方法です。この記事では、転職者のSNS利用データ、新卒向けとの違い、媒体の選び方、反応が出やすい投稿と応募までの導線を解説します。
この記事の要点
- 転職活動中・予定の正社員の69.8%が、SNSや動画で企業の情報を集めている(マイナビ調査)
- 中途の人は「今の職場より良いか」を確かめに来るため、仕事内容・待遇・働き方を具体的に見せる
- 媒体は、採用したい職種と年代で選ぶ。30〜50代もInstagramやYouTubeをよく使っている
- 良い面と悪い面の両方が見える発信が、応募を続けたくなる理由の1位
- 「いきなり応募」以外に、DMやカジュアル面談など気軽に話せる窓口を用意する
中途採用にSNSは効く?転職者の情報収集の実態

結論からいうと、中途採用でもSNSは効果が期待できます。転職を考える人の多くが、求人票だけでなくSNSで会社の実際の様子を確かめているからです。
転職活動中の約7割がSNSや動画で情報収集
マイナビの「2026年1月度 中途採用・転職活動の定点調査」(2026年2月2〜5日・転職活動中または予定の20〜50代正社員n=1,349)では、転職活動でSNSや動画プラットフォームを使って情報収集している人が69.8%でした。企業がSNSや動画で情報を発信することを「必要」と答えた人も74.8%います。
| 調査結果 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 転職活動でSNS・動画で情報収集している | 69.8% | マイナビ(2026年2月・正社員1,349人) |
| 企業のSNS・動画での発信は必要 | 74.8% | 同上 |
| 中途採用でSNS・動画で発信している企業 | 67.0% | マイナビ(2026年2月・採用担当者841人) |
| 公式サイトや求人票以外にSNS・口コミを確認する | 83.8% | ワークポート(2026年5月・同社利用者308人) |
| 応募を続けたくなる状態「良い面・悪い面の両方が見える」 | 73.6% | 同上 |
公式情報と食い違うと、SNSや口コミが信じられる
ワークポートの調査(2026年5月21〜28日・同社を利用する20〜40代308人)では、公式サイトや求人票とSNS・口コミの情報が食い違ったとき、SNS・口コミを信頼する人が43.8%で、公式を信頼する人(29.1%)を上回りました。会社が自ら現場の様子を発信しておくことが、求人票の信頼性を支えるといえます。
新卒向けとの違いは「比べられる相手」

新卒の学生は複数の会社を横に並べて比べますが、中途の人が比べるのは「今働いている会社」です。そのため、見せるべき内容も変わります。
| 項目 | 新卒向け | 中途向け |
|---|---|---|
| 比べる相手 | ほかの就職先候補 | 今の職場 |
| 知りたいこと | 社風・同期・研修・成長イメージ | 仕事内容・待遇・働き方・任される範囲 |
| 見られる時期 | 就活の時期に集中 | 転職を考えた瞬間(時期はばらばら) |
| 発信のポイント | 雰囲気と人の魅力 | 具体的な条件と、入社後の実例 |
特に大切なのが、見られる時期がばらばらであることです。中途採用のSNSは「募集のときだけ発信する」のではなく、日ごろから発信を続けておくことで効果が出ます。
中途採用で使うSNSの選び方

中途採用の媒体選びは、採用したい人の年代と職種から考えます。30〜50代も、思った以上にSNSを使っています。
30〜50代のSNS利用率
総務省情報通信政策研究所の「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2025年12月1〜7日・13〜79歳の1,800人)によると、30代のInstagram利用率は76.6%、YouTubeは94.0%でした。40代・50代でもYouTubeは8割を超えています。
| SNS | 30代 | 40代 | 50代 |
|---|---|---|---|
| YouTube | 94.0% | 91.6% | 84.9% |
| 76.6% | 67.1% | 54.4% | |
| X | 67.7% | 57.0% | 40.2% |
| TikTok | 44.7% | 42.6% | 32.2% |
| 37.4% | 38.9% | 33.1% |
職種と年代で、まず1つの媒体に絞る
販売・サロン・医療福祉など職場の雰囲気が大切な職種はInstagram、未経験歓迎の現場職はTikTok、専門職や管理職候補はYouTubeでじっくり仕事内容を伝える、というのが一つの目安です。最初から複数の媒体を運用するより、1つに絞って続けるほうが成果につながりやすいです。詳しくは採用SNSは職種別に使い分けると企業規模別・採用に最適なSNSとは?で解説しています。
中途採用で反応が出やすい投稿5選

中途の人が知りたいのは、「転職したら、自分の毎日はどう変わるのか」です。抽象的な魅力より、具体的な実例が響きます。
- 中途入社した社員の本音:前職と比べて何が変わったかを本人の言葉で
- 仕事の1日と任される範囲:入社後に何をするのかを具体的に
- 給与・休日・働き方:求人票の条件を、実例で補足する
- 大変なことと乗り越え方:良い面と悪い面の両方を見せる
- 未経験から活躍した例:異業種からの転職者の不安に答える
ワークポートの調査では、応募を続けたくなる状態の1位が「良い面・悪い面の両方が見える」(73.6%)でした。きれいな面だけを並べるより、正直な発信のほうが経験者には信頼されます。
整体・マッサージ系サロンの支援事例
弊社が支援した整体・マッサージ系サロンでは、ショート動画の企画から投稿設計、問い合わせ導線の設計までを行い、月間再生数750万回超え・採用問い合わせ80件超につながりました。現場で働く人の姿を継続して見せることで、経験の有無を問わず「ここで働いてみたい」と思う人に届けられます。事例の詳細は整体院・サロンの採用難をSNSで解決でご紹介しています。
転職潜在層を応募につなげる導線

転職潜在層は、投稿を見てすぐに応募するとは限りません。応募の手前に、気軽に動ける入口を用意しておくことが大切です。
「まず話を聞く」入口をつくる
「いきなり応募はハードルが高い」という人のために、DMでの質問受付やカジュアル面談の案内をプロフィールに書いておきましょう。応募の一歩手前で話せる場所があると、迷っている経験者を取りこぼしにくくなります。
求人ページへのリンクは職種ごとに分ける
複数の職種を募集している場合は、プロフィールのリンク先を職種ごとの求人ページの一覧にします。探す手間を減らすほど、応募までの離脱は減ります。プロフィールから応募フォームまでのつなぎ方は採用SNSの導線設計をご覧ください。
中途採用のSNSを始める4ステップ
中途採用のSNSは、最初に「誰に・何を見せるか」を決めてから投稿を始めると、ぶれずに続けられます。準備から運用までの流れは次のとおりです。
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 採用したい人を決める | 職種・年代・経験の有無・今の不満を書き出す | 「今の職場の何に不満があるか」まで考える |
| 2. 媒体を1つ選ぶ | 年代と職種に合う媒体を選ぶ | 最初は1つに絞り、慣れてから広げる |
| 3. 見せる内容を決める | 仕事内容・待遇・働き方の実例を集める | 求人票の条件と食い違わないようにそろえる |
| 4. 入口と窓口を整える | プロフィールに求人ページとDM・面談の案内を置く | 応募の手前で話せる場所をつくる |
成果は「応募数」だけで判断しない
中途採用のSNSは、見られる時期がばらばらな分、成果が出るまでに時間がかかることがあります。応募数だけでなく、プロフィールへのアクセス数やDMでの質問数、面接で「SNSを見た」と言われた回数なども記録しておきましょう。途中の数字を見ておくと、どこを直せば応募が増えるかがわかります。指標の決め方は採用SNSの効果測定で解説しています。
新卒採用でも同じように使いたい場合は、新卒採用にSNSを活用する方法もあわせてご覧ください。
中途採用のSNSでよくある質問
Q. 中途採用にSNSは効果がありますか?
A. 効果が期待できます。マイナビの調査では、転職活動中または予定の正社員の69.8%がSNSや動画で情報収集しています。日ごろから仕事内容や働き方を発信しておくと、転職を考えたときに思い出してもらいやすくなります。
Q. 中途採用にはどのSNSが向いていますか?
A. 採用したい職種と年代で選びます。職場の雰囲気が大切な職種はInstagram、未経験歓迎の現場職はTikTok、専門職や管理職候補はYouTubeが一つの目安です。
Q. 中途採用のSNSでは何を発信すればいいですか?
A. 中途入社した社員の本音、仕事の1日と任される範囲、給与・休日の実例などがおすすめです。良い面と悪い面の両方を見せると、経験者に信頼されやすくなります。
Q. 求人広告とSNSはどちらを優先すべきですか?
A. どちらか一方ではなく、役割を分けて組み合わせるのがおすすめです。今すぐ転職したい人には求人広告、転職潜在層にはSNSで日ごろから接点をつくると、応募の取りこぼしを減らせます。
Q. 中途採用のSNSは社内の誰が担当すればいいですか?
A. 採用担当者が中心になり、現場の社員に撮影や出演で協力してもらう形が一般的です。マイナビの調査では、SNSを活用していない理由の1位が「情報発信の担当者がいない」でした。社内で手が回らない場合は、企画や撮影を外部に任せる方法もあります。
まとめ:中途採用のSNSは「日ごろの発信」で差がつく
- 転職活動中・予定の正社員の69.8%がSNSや動画で情報を集めている
- 中途の人は「今の職場より良いか」を確かめに来る
- 媒体は職種と年代で選び、まず1つに絞って続ける
- 良い面と悪い面の両方を見せる正直な発信が信頼される
- DMやカジュアル面談など、応募の手前の入口を用意する
「中途採用でもSNSを使ってみたい」「経験者に届く発信の仕方を知りたい」という方は、お気軽にご相談ください。採用Instagramの運用のコツは採用Instagramの効果を最大化する方法でも紹介しています。
参考情報(2026年10月31日確認)
株式会社Add Value 代表
企業ごとに施策を変えながら採用の成果にコミットするSNS運用代行会社を経営。Instagram・TikTok・採用媒体・Threads・YouTube・Meta広告・簡易採用LPまで対応し、約20案件を並行支援。警備会社のSNS採用で問い合わせ200件超、支援先の月間再生数は1,000万回超えなどの実績を持つ。


