「SNSを運用しているけれど、フォロワーが少なくて応募まで届かない」「求人媒体以外に、SNS広告で応募を集められないか」──採用担当の方から、こうしたご相談をいただくことが増えてきました。
SNS採用広告とは、InstagramやTikTokなどに費用を払って求人や職場紹介の動画を配信し、自社を知らない人にまで届けて応募につなげる採用手法です。この記事では、SNS運用との違い、媒体の選び方、費用の考え方、始め方と出稿前に確認したいルールを解説します。
この記事の要点
- SNS運用は「信頼を積み上げる」、SNS広告は「届ける人数を増やす」と役割が違う
- 媒体は、採用したい人の年代と職種に合わせてMeta・TikTok・YouTubeから選ぶ
- 費用は再生数ではなく「応募1件あたりの費用」で、今の求人広告と比べる
- 動画を2〜3本用意し、少額でテストしてから反応の良い広告に予算を寄せる
- 求人の広告は職業安定法と各媒体の広告ポリシーを守る
SNS採用広告とは?求人媒体との違い
結論からいうと、SNS採用広告は「仕事を探していない人」にも届けられるのが、求人媒体との一番の違いです。求人媒体は、仕事を探している人が検索して見つける場所です。SNS広告は、普段SNSを見ている人のタイムラインやおすすめに、求人や職場の動画を表示できます。
| 項目 | 求人媒体 | SNS採用広告 |
|---|---|---|
| 届く相手 | 今まさに仕事を探している人 | まだ転職・就職を考えていない人も含む |
| 伝え方 | 求人票(文字と写真) | 動画や写真で職場の雰囲気を見せる |
| 比べられ方 | 同じ画面で他社の求人と並ぶ | 1社の広告として単独で表示される |
| 費用の考え方 | 掲載料・成果報酬など媒体ごとに異なる | 配信した分だけ費用がかかる |
求人広告の掲載件数は減少傾向
公益社団法人全国求人情報協会の発表(2026年2月13日)によると、2025年の求人広告掲載件数は2,877万5,991件で、4〜12月の前年比は−4.6%、正社員の求人は−9.1%でした。同協会の推計では、ソーシャルリクルーティングなどの新しい形態のサービスの市場規模は、2024年度で3,938億円とされています。求人媒体だけに頼らず、SNSも含めた採用チャネルを持つ企業が増えていることがうかがえます。
SNS運用とSNS広告の役割の違い

SNS広告は、SNS運用の代わりではありません。広告で入口を広げ、運用中のアカウントで納得してもらうという組み合わせで効果が出ます。
広告だけでは「確かめる場所」がない
広告を見て興味を持った人は、多くの場合、アカウントのプロフィールや過去の投稿を見に来ます。そのときに投稿がほとんどないと、「この会社は大丈夫かな」と不安になり、応募をためらいます。広告を出す前に、確かめに来た人の受け皿となるアカウントを整えておくことが大切です。受け皿のつくり方は採用SNSの導線設計で解説しています。
採用で使うSNS広告の選び方

SNS広告の媒体は、採用したい人がよく見ている場所で選びます。目安は次のとおりです。
| 広告 | 配信先 | 向いている採用の目安 |
|---|---|---|
| Meta広告 | Instagram・Facebook | 中途・パート・地域密着の採用。幅広い年代に届けたいとき |
| TikTok広告 | TikTok | 新卒・20代・未経験歓迎の採用。若い世代に届けたいとき |
| YouTube広告 | YouTube(Google広告から出稿) | 専門職など、仕事内容を動画で詳しく伝えたいとき |
どの媒体でも、その媒体の普段の投稿になじむ縦型動画のほうが、広告らしさが薄れて見てもらいやすくなります。TikTokを使った採用の全体像はTikTok採用とは?で紹介しています。
SNS採用広告の費用の考え方と目安

SNS採用広告の費用は、自社で決めた予算の範囲で配信できるのが特徴です。大切なのは金額の大小ではなく、応募1件あたりにいくらかかったかで判断することです。
媒体ごとの最低予算
TikTok広告のヘルプ(2026年7月更新)では、1日の予算はキャンペーンで50米ドル以上、広告セットで20米ドル以上と案内されています。Meta広告のヘルプでは、最小予算は国や目的、通貨などによって変わるとされ、決まった金額は示されていません。出稿前に、各媒体の広告管理画面で確認しましょう。
「応募単価」で求人広告と比べる
再生数やクリック数が多くても、応募が来なければ意味がありません。「広告費 ÷ 広告経由の応募数」で応募単価を出し、今の求人広告の応募単価と比べると判断しやすくなります。広告ごとにリンク先のURLを分けておくと、どの広告から応募が来たかを記録できます。指標の決め方は採用SNSの効果測定もご覧ください。
なお、広告に使う動画の制作費は別にかかります。動画制作や運用を外部に任せる場合の費用感は、SNS採用代行の費用相場で紹介しています。
SNS採用広告の始め方4ステップ

SNS採用広告は、最初から大きな予算をかけず、小さく試して広げるのが基本です。
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 受け皿を整える | アカウントの投稿と募集ページを準備する | 広告を見た人が確かめられる状態にする |
| 2. 動画を2〜3本作る | 切り口を変えた広告用の動画を用意する | 仕事の1シーン・社員の声・待遇など |
| 3. 少額でテストする | 2〜4週間ほど配信し、反応を比べる | 応募単価で比べ、再生数だけで判断しない |
| 4. 良い広告に集中する | 応募単価の低い動画に予算を寄せる | 反応が落ちてきたら新しい動画を足す |
動画は「切り口」を変えて比べる
同じ求人でも、仕事のリアルな1シーン、社員の本音、給与や休日などの条件のどれを前に出すかで反応は変わります。どの切り口が響くかは、実際に配信してみないとわかりません。複数の動画を同時に出して比べることで、自社に合う「勝ちパターン」が見つかります。
弊社の支援について
弊社は、企業ごとに施策を変えながら採用の成果にコミットするSNS運用代行会社です。SNS運用とMeta広告を中心とした広告運用(Google・Yahoo!・LINE・TikTokにも対応)を一気通貫で担当し、目標採用人数から問い合わせ数や広告の数値を逆算して、求めている人に動画を届けます。警備会社の採用支援では、ショート動画の企画から問い合わせ導線の設計までを行い、採用問い合わせ200件超につながりました。運用で育てたアカウントと広告を組み合わせて設計できるのが強みです。
SNS採用広告を出す前に確認したいルール

SNS広告で求人を出すときも、求人票と同じように法律と各媒体のルールを守る必要があります。
職業安定法の「的確な表示」と労働条件の明示
厚生労働省によると、2022年10月1日施行の改正職業安定法で、求人情報の虚偽の表示や誤解を生じさせる表示が禁止され、情報を正確・最新に保つことが義務になりました。ウェブサイトやアプリでの募集も対象です。また、2024年4月1日からは、募集時に業務の変更の範囲や就業場所の変更の範囲なども明示する必要があります。
各媒体の広告ポリシー
Metaは、偽の求人や、雇用主・職務の詳細がない求人、仕事を与える前に前金を求める求人などを禁止しています。また、MetaとTikTokは、米国やカナダなど一部の国・地域に配信する雇用広告について、年齢や性別などでのターゲティングを制限する「特別な広告カテゴリー」の申告を求めています。日本向けの配信でも、年齢や性別で不当に人を除外しない設定を心がけると安心です。
SNS採用広告でよくある質問
Q. SNS採用広告はいくらから始められますか?
A. 媒体によって異なります。TikTok広告のヘルプでは、1日の予算はキャンペーンで50米ドル以上、広告セットで20米ドル以上と案内されています。Meta広告は国や目的によって最小予算が変わるため、広告管理画面で確認しましょう。
Q. SNS運用と広告はどちらから始めるべきですか?
A. まずはアカウントを整えてから広告を出すのがおすすめです。広告を見た人はプロフィールや過去の投稿を見に来るため、受け皿がないと応募につながりにくくなります。
Q. 採用広告にはどのSNSが向いていますか?
A. 採用したい人の年代と職種で選びます。幅広い年代や地域密着の採用はMeta広告、新卒や20代の採用はTikTok広告、仕事内容を詳しく伝えたい場合はYouTube広告が目安です。
Q. SNS採用広告の効果はどう測ればいいですか?
A. 「広告費 ÷ 広告経由の応募数」で応募単価を出し、今の求人広告と比べます。広告ごとにリンク先のURLを分けると、どの広告から応募が来たかを記録できます。
Q. 求人のSNS広告で気をつけるべき法律はありますか?
A. 職業安定法により、求人情報の虚偽の表示や誤解を生じさせる表示は禁止され、正確・最新に保つ義務があります。2024年4月からは、業務や就業場所の変更の範囲なども募集時に明示する必要があります。
まとめ:広告で入口を広げ、アカウントで納得してもらう
- SNS採用広告は、仕事を探していない人にも届けられる
- 運用は「信頼を積み上げる」、広告は「届ける人数を増やす」
- 媒体は年代と職種で選び、その媒体になじむ縦型動画で出す
- 費用は応募1件あたりの費用で、今の求人広告と比べる
- 少額でテストし、反応の良い動画に予算を寄せる
「SNS広告で応募を増やしたい」「運用と広告をどう組み合わせればいいか知りたい」という方は、お気軽にご相談ください。応募が集まらない原因の整理には、中小企業で採用の応募が来ない7つの原因もあわせてご覧ください。
参考情報(2026年10月31日確認)
株式会社Add Value 代表
企業ごとに施策を変えながら採用の成果にコミットするSNS運用代行会社を経営。Instagram・TikTok・採用媒体・Threads・YouTube・Meta広告・簡易採用LPまで対応し、約20案件を並行支援。警備会社のSNS採用で問い合わせ200件超、支援先の月間再生数は1,000万回超えなどの実績を持つ。


