「採用SNSを始めたけれど、何を投稿すればいいか毎回迷う」「再生はされるのに、応募したい人に届いている気がしない」──こうしたお悩みの多くは、誰に向けて発信するかが決まっていないことが原因です。
採用SNSのペルソナとは、投稿を届けたい「架空の1人の応募者」を、年齢や経験だけでなく、悩みやSNSの見方まで具体的に描いたものです。この記事では、警備会社のTikTok採用で問い合わせ200件超を支援してきた弊社の進め方をもとに、応募につながるペルソナの作り方を解説します。
この記事の要点
- 採用SNSのペルソナは、求人票の「応募条件」とは別に作る
- ペルソナがあると、投稿テーマ・言葉選び・評価の基準がそろう
- 作り方は「活躍社員の話を聞く」から始める5ステップ
- 「悩み」と「情報の探し方」を書くと、投稿テーマに変換しやすい
- 一度作って終わりにせず、3ヶ月に1回は見直す
採用SNSのペルソナとは?求人票のターゲットとの違い

採用SNSのペルソナとは、SNSの投稿を届けたい1人の求職者像のことです。求人票に書く「20代・未経験歓迎」のようなターゲット設定とは、役割がまったく違います。
求人票の「応募条件」とペルソナは別物
求人票のターゲットは、応募してよい人の条件を整理したものです。一方で、SNSでは「条件に合う人」ではなく、まだ転職を考えていない人の指を止める必要があります。そのためには、その人が今どんな悩みを抱え、スマホで何を見ているかまで知っておかなければなりません。
| 比べる項目 | 求人票のターゲット | 採用SNSのペルソナ |
|---|---|---|
| 目的 | 応募条件を伝える | 投稿を届ける相手を決める |
| 書く内容 | 年齢・経験・資格・勤務地 | 悩み・きっかけ・SNSの見方・不安 |
| 人数 | 幅広く(〇〇歳まで など) | 具体的な1人 |
| 使う場面 | 求人媒体・採用ページ | 投稿テーマ・台本・プロフィール |
ペルソナがないと起きる3つの失敗
- 投稿テーマが毎回ぶれる:担当者の思いつきで決まり、アカウントの印象がばらばらになる
- 届けたい人以外に広がる:バズっても、応募してほしい層には届いていない
- 良し悪しを判断できない:何を基準に改善すればいいかわからない
ペルソナは「何を投稿するか」を決めるための道具です。作ること自体が目的にならないよう、投稿に使える形で作りましょう。
採用SNSでペルソナが必要な理由
採用SNSは、求職者が応募を決める前の「答え合わせ」に使われています。就活生・新卒社会人400人を対象にした調査では、企業のSNSが魅力的だった場合に応募意欲が「高まる」と答えた人は80.1%でした(株式会社InitialSite、2026年5月調査)。見られる場である以上、誰に向けた発信かがはっきりしているほど、成果につながりやすくなります。
発信の「軸」がぶれなくなる
ペルソナが決まると、「この人ならこの投稿を見たいか?」という1つの問いで企画を判断できます。担当者が代わっても、アカウントの雰囲気を保ちやすいのも利点です。
言葉選び・見せ方が決まる
同じ「研修制度」の紹介でも、未経験の20代に向けるなら「最初の1週間で覚えること」、経験者に向けるなら「資格取得の支援内容」と、伝え方が変わります。誰に話しかけるかが決まると、台本の言葉が具体的になります。
社内で合意をとりやすくなる
採用SNSは、経営者・現場・人事など関わる人が多い取り組みです。ペルソナを1枚にまとめておけば、「なぜこの投稿をするのか」を説明しやすくなり、撮影への協力も得やすくなります。
採用SNSのペルソナ設計5ステップ

ここからは、弊社が支援の最初に行っているペルソナ設計の流れを紹介します。机の上で想像するのではなく、実際に働いている人の話から作るのがポイントです。
① 活躍している社員を3人選んで話を聞く
「こういう人に来てほしい」と思える社員を3人ほど選び、入社前の状況を聞きます。前の仕事、転職を考えたきっかけ、応募前に何を調べたか、入社を決めた理由などです。入社1〜3年目の社員は記憶が新しく、特に参考になります。
- 前の職場(学生時代)で、どんなことに悩んでいたか
- 転職・就職を考え始めたきっかけは何か
- 応募する前に、どこで・何を調べたか
- 応募をためらった理由と、それでも応募した決め手は何か
聞いた内容は、言葉づかいもそのままメモしておきましょう。社員が実際に使った言葉は、そのまま投稿のフックや台本に使えます。
② 共通点を抜き出す
3人の話を並べて、共通する悩みや考え方を探します。年齢や前職がばらばらでも、「前の職場で頑張りが評価されなかった」「家族との時間を増やしたかった」など、動機に共通点が見つかることが多いです。
③ 「今の悩み」と「動くきっかけ」を書く
ペルソナの中心になるのがこの項目です。どんな不満や不安を抱えていて、何があれば転職・就職に動くのかを書きます。悩みが具体的に書けるほど、投稿テーマが自然に決まります。
④ 情報の探し方を書く
どのSNSを、いつ、どう見ているかを書きます。通勤中にTikTokを流し見しているのか、気になった会社をInstagramで検索するのか。見ている場所がわかれば、使う媒体と投稿の形が決まります。
⑤ 1枚のシートにまとめる
最後に、名前・年齢・状況・悩み・きっかけ・情報の探し方・応募前の不安を1枚にまとめます。名前や顔写真のイメージまで決めると、社内で「〇〇さんならどう思うか」と話しやすくなります。
ペルソナ設計シートに書く項目

ペルソナ設計シートには、次の項目を書くのがおすすめです。特に「応募前の不安」は、多くの企業が書き漏らす項目です。
| 項目 | 書く内容 | 記入例(施設警備の未経験者) |
|---|---|---|
| 基本情報 | 年齢・家族・住まい | 28歳・既婚・子ども1人・郊外在住 |
| 今の状況 | 仕事・働き方 | 飲食店の店長。休みが不定期 |
| 悩み | 今の仕事への不満・不安 | 家族と休みが合わない。将来が見えない |
| 動くきっかけ | 転職を考える出来事 | 子どもの入学で生活を整えたい |
| 情報の探し方 | 使うSNS・見る時間帯 | 寝る前にTikTok、気になればInstagramで検索 |
| 応募前の不安 | 応募をためらう理由 | 未経験でも大丈夫か。体力的にきつくないか |
| 決め手 | 応募を後押しするもの | 同じ境遇から入社した社員の声 |
記入例はあくまでイメージです。自社の社員の話から書いた内容のほうが、ずっと強いペルソナになります。
ペルソナから投稿テーマを決める方法

ペルソナができたら、投稿テーマに変換します。コツは、ペルソナの悩みや不安を1つずつ投稿に置き換えることです。
悩み・不安を投稿テーマに置き換える
| ペルソナの悩み・不安 | 投稿テーマの例 |
|---|---|
| 家族と休みが合わない | 社員の1週間のシフトと休日の過ごし方 |
| 未経験でも大丈夫か | 入社1ヶ月目の社員が覚えたこと |
| 体力的にきつくないか | 現場の1日密着(休憩の取り方まで) |
| 職場の人間関係が不安 | 先輩社員との会話・質問しやすい雰囲気 |
このように変換すると、「何を投稿しよう」と迷う時間が減ります。不安に答える投稿は、応募の直前に見られやすいため、応募につながりやすい投稿でもあります。
プロフィールとハイライトもペルソナに合わせる
投稿を見て興味を持った人は、次にプロフィールを見ます。プロフィール文、固定投稿、ハイライトにも、ペルソナが知りたい情報(給与・休日・応募方法など)を置いておきましょう。導線の考え方は採用SNSの始め方でも解説しています。
ペルソナ設計のよくある失敗と見直し方

ペルソナは作り方を間違えると、かえって発信を狭めてしまいます。よくある失敗は次の3つです。
理想を詰め込みすぎる
「明るくて、経験があって、長く働いてくれて…」と理想を詰め込むと、実在しない人物になります。実際に入社して活躍している人をもとにすることで、現実的なペルソナになります。
社内の「欲しい人」だけで決める
会社側の希望だけで作ると、求職者の悩みが抜け落ちます。ペルソナは「会社が欲しい人」ではなく「その人が何に困っているか」から描くことが大切です。
一度作って終わりにする
応募者の層や反応は変わっていきます。3ヶ月に1回を目安に、面接で聞いた応募理由や投稿の反応をもとに見直しましょう。想定と違う層から応募が来ている場合は、それ自体が新しいペルソナのヒントになります。
支援事例:届ける相手を決めてから企画する
弊社が支援している警備会社では、TikTokとInstagramを採用目的で運用し、採用問い合わせ200件超につながっています(TikTok15万フォロワー・Instagram4万フォロワー)。整体・マッサージ系サロンでも、採用問い合わせ80件超を実現しました。
どちらの案件でも、ショート動画の企画に入る前に投稿設計を行い、アカウント改善と問い合わせ導線の設計までをセットで進めています。「誰に届けるか」を決めてから企画を考えることが、再生数だけで終わらない運用の土台です。サロンの事例は整体院・サロンの採用難をSNSで解決で詳しく紹介しています。
よくある質問
Q. 採用SNSのペルソナは何人分作ればいいですか?
最初は1職種につき1人で十分です。複数職種を募集する場合も、まずは一番採りたい職種のペルソナから作り、投稿が軌道に乗ってから増やしましょう。
Q. 社員にヒアリングできない場合はどうすればいいですか?
面接で応募者に「なぜ応募したか」「応募前に何を調べたか」を聞いて記録する方法があります。数件集まるだけでも、応募者の悩みや情報の探し方が見えてきます。
Q. ペルソナはどのくらいの頻度で見直すべきですか?
目安は3ヶ月に1回です。応募者の層が想定と違う、投稿の反応が落ちてきたといった変化があれば、その時点で見直しましょう。
Q. 求人票のターゲットとペルソナは同じでいいですか?
同じにしないほうがよいです。求人票のターゲットは応募条件の整理で、ペルソナは「どんな悩みを持ち、SNSで何を見ている人か」まで描いたものです。役割が違います。
Q. 新卒採用と中途採用でペルソナの作り方は変わりますか?
進め方は同じですが、聞く相手と項目が変わります。新卒なら入社1〜2年目の社員に就活中の悩みや企業の調べ方を、中途なら前職の不満や転職のきっかけを重点的に聞きましょう。
まとめ:ペルソナは「投稿に使える形」で作る
- 採用SNSのペルソナは、悩み・きっかけ・SNSの見方まで描いた1人の求職者像
- 求人票のターゲット(応募条件)とは役割が違う
- 活躍社員3人の話を聞き、共通点から作るのが近道
- 悩み・不安を1つずつ投稿テーマに置き換えると、企画に迷わない
- 3ヶ月に1回は、応募理由や投稿の反応をもとに見直す
「ペルソナを作ったけれど投稿に生かせていない」「そもそも誰に向けて発信すればいいかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。SNS採用の全体像はSNS採用とは?主要5媒体の比較・メリット・成功事例まで完全ガイドもあわせてご覧ください。
参考情報(2026年10月28日確認)
株式会社Add Value 代表
企業ごとに施策を変えながら採用の成果にコミットするSNS運用代行会社を経営。Instagram・TikTok・採用媒体・Threads・YouTube・Meta広告・簡易採用LPまで対応し、約20案件を並行支援。警備会社のSNS採用で問い合わせ200件超、支援先の月間再生数は1,000万回超えなどの実績を持つ。


