「会社の公式アカウントはあるけれど、採用用に別アカウントを作るべき?」「アカウントを増やして運用が回らなくなるのが怖い」──SNS採用を始めるときに、多くの採用担当者が迷うポイントです。
採用専用アカウントとは、商品やサービスの宣伝とは別に、求職者に向けた情報だけを発信するSNSアカウントのことです。この記事では、最新の調査データと、警備会社のTikTok採用で問い合わせ200件超を支援してきた弊社の知見をもとに、分けるべきかの判断基準と始め方を解説します。
この記事の要点
- 東証プライム上場企業の20.8%が採用専用Instagramを持っている(2026年8月調査)
- 採用専用アカウントは、求職者が知りたい情報と応募導線をまとめやすい
- 一方で、投稿を続ける体制がないと「止まったアカウント」になるリスクがある
- 分けるかどうかは「目的・投稿数・体制・伝えたい相手」の5つの基準で判断する
- 迷う場合は、兼用アカウントで採用投稿を始めて反応を見るのも手
採用専用アカウントとは?兼用アカウントとの違い

SNSで採用発信をする方法は、大きく2つあります。会社の公式アカウントで採用投稿も行う「兼用」と、採用だけのアカウントを別に作る「専用」です。
| 比べる項目 | 兼用アカウント | 採用専用アカウント |
|---|---|---|
| 主な読者 | 顧客・ファン・取引先 | 求職者・学生 |
| 投稿内容 | 商品・サービス+ときどき採用 | 仕事内容・社員・制度・応募方法 |
| プロフィール | 会社や商品の紹介 | 募集職種・応募方法・よくある質問 |
| 始めやすさ | ◎ すぐ始められる | △ ゼロから育てる必要がある |
| 応募への導線 | △ 採用情報が埋もれやすい | ◎ 応募まで一直線に設計できる |
どちらが正解というより、自社の採用課題と運用体制に合う方を選ぶことが大切です。
採用専用アカウントを持つ企業は増えている

採用専用アカウントを持つ企業は、大企業でも珍しくなくなっています。公開されている2つの調査を紹介します。
プライム上場企業の20.8%が採用専用Instagramを保有
アンドブースター株式会社が東証プライム上場の全1,551社を調べた調査(2026年8月)では、採用専用のInstagramアカウントを持つ企業は323社(20.8%)でした。開設時期がわかった318件のうち、51.9%が2023年以降の開設で、ここ数年で一気に増えていることがわかります。
同じ調査では、採用専用アカウントのフォロワー数の中央値は373人でした。大企業でも採用アカウントのフォロワーは決して多くありません。採用アカウントは、フォロワー数より「求職者に見られたときの中身」で勝負する場だといえます。
企業サイトからInstagramへの導線は5年で増加
リブランディング株式会社が21,002社の企業サイトを比べた調査では、トップページからInstagramへのリンクがある企業は、2021年8月の19.7%から2026年9月には33.4%に増えていました。企業の情報発信の場として、Instagramの存在感が増しています。
なお、この調査はトップページのリンクの有無を調べたもので、採用目的かどうかや、運用状況までは調べていない点に注意が必要です。
採用アカウントを分けるメリット・デメリット

採用専用アカウントには、はっきりしたメリットがある一方で、見落としがちなデメリットもあります。始める前に両方を知っておくことが失敗を防ぎます。
メリット①:求職者が知りたい情報を1か所にまとめられる
採用専用なら、仕事内容・1日の流れ・給与や休日・社員の声など、求職者が知りたい情報だけを並べられます。社名で検索した人がプロフィールを開いたとき、すぐに「答え合わせ」ができる状態を作れます。
メリット②:応募までの導線を作りやすい
プロフィールのリンクを応募フォームや公式LINEにでき、ハイライトに「募集要項」「よくある質問」を置けます。見た人が「次にどこへ行けばいいか」迷わないのは、専用アカウントの大きな強みです。
メリット③:ブランドの世界観を崩さずに済む
商品の世界観を大切にしている企業ほど、社員の日常やゆるい企画を公式アカウントに混ぜにくいものです。分けておけば、それぞれのアカウントの雰囲気を保てます。
デメリット:ゼロから育てる手間と、止まるリスク
専用アカウントはフォロワーゼロからのスタートです。そして最も多い失敗が、数ヶ月で投稿が止まってしまうことです。最後の投稿が半年前のアカウントは、かえって「採用に力を入れていない会社」という印象を与えかねません。
採用アカウントを分けるべきか判断する5つの基準

次の5つのうち、3つ以上に当てはまるなら、採用専用アカウントを作るのがおすすめです。
- 採用が経営の重要課題になっている:毎年まとまった人数を採用する、または欠員が事業に影響している
- 採用投稿を月4本以上つくれる:撮影や台本づくりに協力してくれる社員がいる
- 伝えたい相手が顧客と大きく違う:例)商品は主婦向け、採用は20代の現場職
- 公式アカウントの世界観を崩したくない:ブランドイメージを大切にしている
- 応募までの導線を整えたい:プロフィールから応募フォームへ直接つなげたい
当てはまる数が少ない場合は、無理に分けず、まずは兼用アカウントで採用投稿を始めて反応を見るのが現実的です。どのSNSを選ぶかは企業規模別・採用に最適なSNSとは?も参考にしてください。
兼用アカウントで採用発信をするときのコツ
兼用アカウントでも、工夫次第で採用発信は十分に機能します。ポイントは採用の情報が埋もれないようにすることです。
- ハイライトに「採用情報」を作る:募集職種・応募方法・社員の声をまとめる
- 採用投稿の表紙デザインをそろえる:一覧で見たときに採用投稿だとわかるようにする
- 固定投稿の1枠を採用に使う:プロフィールを開いた人の目に入る位置に置く
- プロフィール文に一言添える:「採用情報はハイライトから」など
兼用で始めて、採用投稿の反応が良く本数も確保できるようになったら、専用アカウントへ切り替えるのがスムーズです。
兼用アカウントで気をつけたいこと
兼用アカウントでは、採用投稿がお客様にも見られることを忘れないようにしましょう。社内の内輪ネタや、給与・待遇を強く打ち出しすぎた投稿は、顧客から見ると違和感を与えることがあります。
「お客様が見ても、求職者が見ても気持ちのいい投稿か」を基準にすると、兼用でも採用投稿を続けやすくなります。働く人の誠実さや仕事へのこだわりが伝わる投稿は、採用にもブランドにもプラスに働きます。
採用専用アカウントの始め方4ステップ

① 目的と届けたい相手を決める
「来年の新卒を10人採用したい」「現場職の応募を増やしたい」など、目的を数字で決め、届けたい求職者像(ペルソナ)を描きます。ペルソナの作り方は採用SNSのペルソナ設計で解説しています。
② プロフィールと導線を整える
アカウント名は「社名+採用」など、検索したときに見つけやすい名前にします。プロフィール文に募集職種、リンクに応募先を設定し、ハイライトに募集要項とよくある質問を用意しましょう。
③ 最初の9投稿をそろえてから公開する
投稿が1〜2本しかないアカウントは、見に来た人に情報が伝わりません。仕事内容・社員紹介・制度・応募方法など、プロフィールを開いたときに一通りわかる本数をそろえてから本格的に告知しましょう。
④ 公式アカウントや採用サイトからつなぐ
公式アカウントのプロフィールや採用サイト、求人票に採用アカウントへのリンクを載せます。社名で検索した人が採用アカウントにたどり着ける状態を作ることが大切です。
支援事例:採用専用アカウントで問い合わせ200件超
弊社が支援している警備会社では、採用目的のTikTokとInstagramを運用し、採用問い合わせ200件超につながっています(TikTok15万フォロワー・Instagram4万フォロワー、月間再生数1,000万回超え)。整体・マッサージ系サロンでも、採用問い合わせ80件超を実現しました。
どちらもショート動画の企画・投稿設計に加え、アカウント改善と問い合わせ導線の設計までをセットで行ったことが成果につながっています。
立ち上げ全体の流れは、採用SNSの始め方で準備から最初の3か月まで順番に解説しています。
よくある質問
Q. 採用アカウントと企業アカウントは分けたほうがいいですか?
採用に本気で取り組むなら分けるのがおすすめです。求職者が知りたい情報だけをまとめられ、プロフィールから応募までの導線も作りやすくなります。ただし、投稿を続ける体制がない場合は、まず兼用アカウントで採用投稿を始めるのも選択肢です。
Q. 採用専用アカウントはフォロワーが少なくても意味がありますか?
あります。採用アカウントは、社名で検索した求職者が「答え合わせ」に見る場でもあるため、フォロワー数より知りたい情報がそろっているかが大切です。
Q. 採用専用アカウントはどのSNSで作るのがいいですか?
最初の1つはInstagramが始めやすい媒体です。投稿やハイライトに情報を整理して残せます。若い層への認知を広げたい場合は、TikTokとの併用を検討しましょう。
Q. 兼用アカウントから採用専用アカウントに切り替えるタイミングは?
採用投稿が月に4本以上つくれるようになった、採用投稿だけ反応の層が違う、といった状況になったら切り替えを検討するタイミングです。
Q. 採用専用アカウントの運用は誰が担当すべきですか?
人事・採用担当が窓口になり、撮影や出演は現場の社員に協力してもらう形が一般的です。企画や編集まで社内で回すのが難しい場合は、運用代行を使う方法もあります。
まとめ:迷ったら「続けられるか」で判断する
- 採用専用アカウントは、求職者向けの情報と応募導線をまとめられる
- プライム上場企業の20.8%が採用専用Instagramを保有(2026年8月調査)
- 最大のリスクは「投稿が止まること」。体制がないなら兼用から始める
- 5つの基準のうち3つ以上当てはまれば、専用アカウントがおすすめ
- 始めるときは、プロフィールと導線、最初の投稿をそろえてから公開する
「専用アカウントを作りたいが、運用する人手がない」「兼用アカウントの採用投稿が伸びない」という方は、お気軽にご相談ください。採用Instagramの運用ポイントは採用Instagramの効果を最大化する方法もあわせてご覧ください。
参考情報(2026年10月28日確認)
株式会社Add Value 代表
企業ごとに施策を変えながら採用の成果にコミットするSNS運用代行会社を経営。Instagram・TikTok・採用媒体・Threads・YouTube・Meta広告・簡易採用LPまで対応し、約20案件を並行支援。警備会社のSNS採用で問い合わせ200件超、支援先の月間再生数は1,000万回超えなどの実績を持つ。


