採用ブランディングとは、候補者に「この会社で働きたい」と思ってもらえる印象を、発信や採用活動を通して育てていく取り組みです。「給与や知名度で大手にかなわない」「応募は来るのに、合う人が来ない」と感じていませんか?
この記事では、必要とされる理由、進め方、SNSでの発信方法を解説します。ロゴや見た目を整える話ではなく、中小企業でも今日から始められる内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の要点
- 採用ブランディングは、会社の良さを飾る活動ではなく、合う人に選ばれる理由を言葉と行動でそろえる活動
- 大卒の就職後3年以内の離職率は33.8%で、入社前の理解をそろえる意味は大きい(厚生労働省)
- 進め方は「現状を聞く→選ばれる理由を決める→言葉にする→発信する→確かめる」の5ステップ
- SNSでは社員の言葉と日常を見せ、大変な面も正直に伝える
- 成果が出るまで時間がかかるので、急ぎの採用には向かない
採用ブランディングとは?
採用ブランディングとは、「働く場所としてどんな会社か」という印象を候補者の中に作っていくことです。商品のブランドづくりと考え方は同じですが、相手はお客様ではなく、これから一緒に働く人です。
大切なのは、見た目より中身です。パンフレットや動画をきれいにしても、面接や職場の実態と違えば、入社後のギャップにつながります。発信、面接、入社後の体験をそろえることが、採用ブランディングの本質です。

採用マーケティング・採用広報との違いは?
3つは重なる部分がありますが、役割が違います。全体の流れを作るのが採用マーケティング、印象を育てるのが採用ブランディング、情報を届ける手段の1つが採用広報と考えるとわかりやすいでしょう。
| 用語 | 目的 | 主な取り組み |
|---|---|---|
| 採用ブランディング | 働きたいと思われる印象を育てる | 選ばれる理由の言語化、発信、面接の見直し |
| 採用マーケティング | 認知から入社までの流れを作る | 採用人数からの逆算、施策の選定、計測 |
| 採用広報 | 社員や会社の情報を届ける | 社員インタビュー、SNS、採用サイト |
流れ全体の作り方は採用マーケティングとはで解説しています。
採用ブランディングが必要とされる理由は?
必要とされる理由は、求人が多い中で比べられやすく、入社後のミスマッチも起きやすいからです。

理由1:候補者が多くの会社を比べている
リクルートワークス研究所「第43回ワークス大卒求人倍率調査(2027年卒)」(2026年4月23日公表)によると、大卒求人倍率は1.62倍です。候補者から見ると選べる会社が多く、条件だけでは違いが伝わりにくくなっています。
理由2:入社後のギャップで辞めてしまう
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」によると、大学卒の就職後3年以内の離職率は33.8%です。離職の理由はさまざまですが、入社前に実態を知ってもらうことは、防げるギャップを減らす手段の1つです。
理由3:候補者が自分で会社を調べられる
総務省「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2025年12月実施、13〜79歳の1,800人)によると、20代のInstagram利用率は82.6%です。候補者は求人票だけでなく、SNSでも会社の様子を確かめられます。就活生の見方は就活生のSNS情報収集の実態をご覧ください。
採用ブランディングの進め方は?
進め方は、現状を聞く、選ばれる理由を決める、言葉にする、発信する、確かめるの5ステップです。大がかりな制作から始める必要はありません。

手順1:社員と候補者に聞く
最近入社した人に「入社の決め手」と「入る前に知りたかったこと」を聞きます。辞退した人の理由がわかれば、それも貴重な材料です。社内の思い込みではなく、実際の声から始めるのがポイントです。
手順2:選ばれる理由を決める
聞いた内容から、他社と比べて自社が選ばれている理由を2〜3個に絞ります。あわせて、どんな人に合い、どんな人には合わないかも決めます。
手順3:一言で伝わる言葉にする
「アットホームな職場」のような、どの会社にも言える言葉は避けます。「入社1年目から現場の提案を任せる」のように、具体的な場面が浮かぶ言葉にしましょう。
手順4:発信して、面接もそろえる
SNS、採用サイト、求人票、面接で同じことを伝えます。面接官によって話が違うと、発信の信頼が下がってしまいます。
手順5:数字と声で確かめる
応募数だけでなく、面接での「投稿を見ました」という声、辞退率、入社後の定着を見ます。効果の測り方は採用SNSの効果測定で解説しています。
| 確かめること | 見る数字や声 | 見直す内容 |
|---|---|---|
| 届いているか | 再生数、プロフィールの閲覧 | 投稿のテーマ、媒体 |
| 合う人が来ているか | 応募者の属性、面接の通過率 | メッセージ、人物像 |
| 実態と合っているか | 辞退理由、入社後の声 | 発信内容、面接での説明 |
採用ブランディングでSNSはどう発信する?
SNSで発信するときは、社員の言葉と日常を見せ、良いことも大変なことも正直に伝えるのが基本です。作り込んだ動画より、働く人の姿が見える投稿のほうが、印象に残ることも多くあります。

| 投稿のテーマ | 具体的な内容 | 伝わること |
|---|---|---|
| 入社の決め手 | 社員が選んだ理由を自分の言葉で話す | 選ばれる理由 |
| 仕事の1日 | 出社から退社までの流れ | 働くイメージ |
| 大変なこと | つらかった場面と乗り越え方 | 正直さ、入社後のギャップの予防 |
| 考え方 | 社長や先輩が大切にしていること | 会社の価値観 |
| よくある質問 | 休み、給与、配属への回答 | 応募前の不安の解消 |
投稿の考え方は採用SNSの始め方、企画の例は採用動画ネタ30選が参考になります。アカウントを分けるか迷う場合は採用アカウントは分けるべき?をご覧ください。
大切なのは「同じことを言い続ける」こと
投稿ごとに違うことを伝えると、印象は残りません。選ばれる理由を2〜3個に絞り、切り口を変えて繰り返しましょう。たとえば「若手に任せる」が理由なら、社員の話、1日の流れ、失敗談のどれでも同じテーマを伝えられます。
よくある失敗は?
よくある失敗は、実態と違う理想を発信してしまうことです。「風通しのよい職場」と発信しているのに、面接や入社後に違うと感じられると、辞退や早期離職につながります。発信を始める前に、現場の社員に「この表現は実態と合っているか」を確かめましょう。もう1つの失敗は、人事だけで進めることです。社員の協力がないと、発信内容が会社案内のようになってしまいます。経営層と現場を早めに巻き込むと、出演や取材の協力を得やすくなります。
採用ブランディングの事例は?
弊社の支援事例では、警備会社のTikTok・Instagram運用で採用問い合わせ200件超につながりました。警備の仕事は、外から見ただけでは日々の様子が伝わりにくい職種の1つです。

| 項目 | 警備会社 | 整体・マッサージ系サロン |
|---|---|---|
| フォロワー | Instagram 4万/TikTok 15万 | Instagram 1万/TikTok 5,000 |
| 月間再生数 | 1,000万回超え | 750万回超え |
| 採用問い合わせ | 200件超 | 80件超 |
| 支援内容 | ショート動画企画、投稿設計、アカウント改善、問い合わせ導線設計 | 同左 |
どちらも、動画を作って終わりにせず、問い合わせまでの流れを整えた事例です。結果は業種や地域、募集条件によって変わるので、同じ数字を約束するものではありません。警備会社の事例は警備員の採用が難しい理由で詳しく紹介しています。
採用ブランディングの費用とデメリットは?
費用は、社内で進めるなら主に人件費、外部に任せるなら範囲によって変わります。まず社員への聞き取りとSNS発信から始めれば、大きな制作費をかけずに取り組めます。弊社のSNS運用代行はAプランが月額30万円(6投稿/月)からで、契約期間は6ヶ月〜です。大枠のプランをもとに、初回MTGとヒアリングシートの回答を踏まえてカスタマイズし、認識をすり合わせてから運用を始めます。
- デメリット1:成果が出るまで時間がかかり、短期の採用には向かない
- デメリット2:職場の実態が伴わないと、発信がかえって不信につながる
- デメリット3:効果を数字で示しにくく、社内の理解を得るのに工夫がいる
向いているのは、毎年採用を続ける会社や、知名度より働き方や人で選ばれたい会社です。向いていないのは、数週間で人を採りたい場合や、職場環境の見直しが先に必要な場合です。
社員や仕事の情報を届ける具体的な方法は、採用広報とはで解説しています。
採用ブランディングでよくある質問
Q. 採用ブランディングは中小企業でもできますか?
A. できます。知名度がなくても、社員の言葉や働き方は発信できます。まず最近入社した人に入社の決め手を聞くところから始めましょう。
Q. 採用ブランディングの効果はどう測ればいいですか?
A. 応募数に加えて、面接での「投稿を見ました」という声、辞退率、入社後の定着を見ましょう。1つの数字だけで判断しないことが大切です。
Q. 採用動画は必要ですか?
A. 必須ではありません。ただ、職場の雰囲気や人柄は動画で伝わりやすいので、スマートフォンで撮る短い動画から試してみるのがおすすめです。
Q. 悪い面まで発信して応募が減りませんか?
A. 減ることはありますが、合わない人の応募が減る分には問題ありません。納得して入社する人が増えれば、早期離職の防止につながります。
Q. 採用サイトは先に作るべきですか?
A. 必須ではありません。先に選ばれる理由を言葉にしないと、作っても伝わりにくくなります。SNSで反応を確かめてから、詳しい情報を採用サイトにまとめる順番でも進められます。
Q. 誰が担当すべきですか?
A. 人事を中心に、経営層と現場の協力者を1人ずつ決めるのがおすすめです。選ばれる理由は経営の考え方と現場の実態の両方に関わるため、人事だけでは決めきれないことが多いからです。
まとめ:採用ブランディングは社員の声を聞くことから
- 採用ブランディングは、働きたいと思われる印象を育てる活動
- 見た目より、発信、面接、入社後の体験をそろえることが大切
- 選ばれる理由を2〜3個に絞って、切り口を変えて発信する
- 時間がかかるので、急ぎの採用には求人媒体を併用する
まずは、最近入社した社員3人に「入社の決め手」を聞いてみましょう。そのまま最初の投稿テーマになります。始め方に迷う方はSNS採用とはもご覧ください。
参考情報(2026年11月4日確認)
株式会社Add Value 代表
企業ごとに施策を変えながら採用の成果にコミットするSNS運用代行会社を経営。Instagram・TikTok・採用媒体・Threads・YouTube・Meta広告・簡易採用LPまで対応し、約20案件を並行支援。警備会社のSNS採用で問い合わせ200件超、支援先の月間再生数は1,000万回超えなどの実績を持つ。プロフィール詳細はこちら →


