ドライバー採用とは、トラックなどの運転を担う人材を集め、選考し、入社後に定着してもらうまでの取り組みのことです。今のドライバー採用が難しいのは、求人倍率が高いうえに、若手が運送の仕事を知る機会そのものが少ないためです。「求人を出してもドライバーの応募が来ない」「乗務員の高齢化が心配だ」と感じていませんか?
この記事では、データで見るドライバー採用の現状と、求人媒体だけに頼らず若手に「見つけてもらう」ためのSNSの使い方、発信する内容、始め方を解説します。現場系の警備会社を支援した実例も紹介しますので、運送会社の経営者・採用担当の方はぜひ最後までご覧ください。
この記事の要点
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)」で、自動車運転従事者の有効求人倍率は2.56倍(職業計は1.08倍)
- 求人媒体は「仕事を探している人」、SNSは「まだ探していない人」に届く。役割を分けて併用する
- SNSではドライバーの1日、運転の技、未経験からの育て方、休みと働き方、人柄を見せる
- 運転中は撮影しない、荷主や配送先を映さないなどのルールを先に決める
- 現場系の警備会社では、TikTok・Instagram運用で採用問い合わせ200件超
ドライバー採用はなぜ難しい?データで見る運送業の現状
ドライバー採用が難しいのは、1人の求職者を多くの会社で取り合う状態が続いているためです。まずは公的なデータで現状を確認しましょう。

有効求人倍率とは、仕事を探している人1人に対して、何件の求人があるかを示す数字です。厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)」の参考統計表(常用・パート含む、原数値)によると、自動車運転従事者の有効求人倍率は2.56倍で、職業計の1.08倍の2倍以上でした。
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 自動車運転従事者の有効求人倍率 | 2.56倍(職業計1.08倍) | 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)」 |
| 自動車運転の業務の時間外労働の上限 | 年960時間(特別条項付き36協定の場合) | 厚生労働省(2024年4月から適用) |
| 2030年度の輸送力不足の見通し | 平均で約7%〜最大で約25% | 国土交通省 検討会提言(何も施策を講じなかった場合) |
2024年問題で採用はどう変わった?
物流の2024年問題とは、2024年4月からドライバーの時間外労働に上限がかかり、1人が運べる量が減ることで生じる課題のことです。厚生労働省によると、自動車運転の業務は特別条項付き36協定を結ぶ場合でも時間外労働の上限が年960時間になりました。同じ量を運ぶには人を増やす必要があり、採用の重要性はさらに高まっています。
国土交通省の「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会」の提言では、何も施策を講じなかった場合、2030年度に平均で約7%〜最大で約25%の輸送力不足が生じうるとしています。ドライバーの確保は、一時的な欠員補充ではなく、会社を続けるための課題です。
「見つけてもらう採用」とは?求人媒体との違い
見つけてもらう採用とは、まだ仕事を探していない人に、SNSなどで先に会社や仕事を知ってもらい、興味を持った人から問い合わせてもらう採用の考え方です。求人媒体で「探している人を探す」採用と組み合わせて使います。

図のとおり、求人媒体はドライバー職に応募すると決めた人が見る場所です。条件で比べられやすく、経験者の取り合いになりがちです。一方、SNSでは運送の仕事を考えたことがない若手にも、動画を通じて仕事の中身や職場の人を知ってもらえます。
| 比べる点 | 求人媒体(探す採用) | SNS(見つけてもらう採用) |
|---|---|---|
| 届く相手 | 今ドライバーの仕事を探している人 | まだ探していない若手・異業種の人 |
| 比べられるもの | 給与・休日などの条件 | 仕事の中身・人・雰囲気 |
| 効果が出るまで | 掲載してすぐ | 数ヶ月の継続が必要 |
| 止めたとき | 掲載をやめると見られない | 投稿は会社の資産として残る |
どちらが優れているという話ではありません。今すぐの欠員は求人媒体、半年後・1年後の若手の母集団づくりはSNSというように、役割を分けて併用するのが現実的です。両者の比較はSNS採用と求人媒体の比較で詳しく解説しています。
運送業とSNSの相性は?ドライバー採用に向いている理由
運送業はSNSと相性のよい業界です。理由は、トラックや運転の技術そのものに見る価値があり、一般の人が知らない仕事の裏側が多いからです。
- 乗り物の動画が見られやすい:大型トラックの運転席からの景色、バック駐車、洗車などは、乗り物が好きな人に見てもらいやすい題材です
- 知らない世界がある:早朝の物流センター、長距離の道のり、積み込みの段取りなど、ふだん見えない仕事が多くあります
- 人柄が伝わりやすい:無口そうに見えて面倒見がよい先輩など、イメージとの違いが職場の雰囲気として伝わります
若手がSNSをよく使っていることもデータで確認できます。総務省「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2025年12月公表、n=1,800)では、TikTokの利用率は10代で67.9%、20代で61.5%、Instagramの利用率は20代で82.6%でした。若手が毎日見ている場所に、運送の仕事の情報を置くことが第一歩です。SNSが採用に必要な理由は採用にSNS活用が必要な理由でも解説しています。
TikTokとInstagramはどう使い分ける?
TikTokは、フォロワーが少なくても興味のありそうな人に動画が届きやすく、まだ会社を知らない若手への入口に向いています。Instagramは、興味を持った人がプロフィールや過去の投稿を見て会社を確かめる場所として使えます。TikTokの基本はTikTok採用とはで詳しく紹介しています。
運送会社のSNSで発信すべきコンテンツは?
発信すべきなのは、応募を迷っている人が知りたい「仕事の中身」と「働き続けられるか」に答える内容です。社内では当たり前の光景ほど、外の人には新鮮に映ります。

| テーマ | 投稿の例 | 答えられる不安 |
|---|---|---|
| ドライバーの1日 | 点呼、積み込み、休憩、帰庫までの流れ | 実際どんな1日なのか |
| トラックと運転の技 | バック駐車、荷締め、車内の工夫 | 自分にもできる仕事か |
| 未経験からの育て方 | 免許取得の支援、同乗研修、1年目の仕事 | 経験がなくても大丈夫か |
| 休みと働き方 | 1週間の流れ、帰れる時間、休日の過ごし方 | 体力的に続けられるか |
| 人柄と職場の空気 | 先輩や所長との会話、営業所の雰囲気 | 怖い人はいないか |
未経験の若手を採用したいなら、免許取得の支援や同乗研修など「育て方」の投稿を多めにしましょう。1本の動画の構成は採用TikTokの台本の書き方、ネタ出しは採用動画ネタ30選が参考になります。
現場系の採用でSNSはどう使われた?警備会社の支援事例
運送業と同じく「現場の仕事」「人手不足」「仕事のイメージが先に立つ」という悩みを持つ警備会社では、SNS運用で採用問い合わせ200件超につながりました。株式会社Add Valueが支援した事例です。

この会社では、隊員が主役の日常の動画をTikTokとInstagramで続け、TikTokは15万フォロワー、Instagramは4万フォロワー、月間再生数は1,000万回を超えました。大事なのは再生数ではなく、プロフィールから問い合わせまでの導線をセットで整えたことです。詳しくは警備員の採用が難しい理由とSNSの活用法で紹介しています。
ただし、業界や地域、採用したい人によって合う発信は変わります。同じ型をそのまま当てはめるのではなく、自社の強みと採用したい人に合わせて組み直すことが大切です。現場系の他業界の考え方は建設業の採用も参考になります。
ドライバー採用のSNSの始め方は?5つのステップ
始め方は、採用したい人を決め、撮影ルールを整えてから、3ヶ月を目安に投稿を続ける流れです。現場の負担を増やしすぎない段取りにすることが続けるコツです。

- 採用したい人を決める:20代の未経験者か、中型・大型免許を持つ経験者かで、見せる内容が変わります。考え方は採用SNSのペルソナ設計を参考にしてください
- 撮影のルールを決める:運転中は撮らない、荷主や配送先がわかる映像を出さない、出演は本人の同意をとる、の3つは最初に決めます
- アカウントを整える:社名、営業所の場所、車種、募集している職種、応募先をプロフィールに書きます
- 週2〜3本を3ヶ月続ける:乗務前後の短い撮影と、月1回のまとめ撮りを組み合わせると現場の負担が少なく済みます
- 数字を見て直す:再生数だけでなく、最後まで見られた割合やプロフィールへのアクセス、問い合わせ数を見ます。指標の決め方は採用SNSの効果測定で解説しています
ドライバー採用でSNSを使うときの注意点は?
注意点は、安全、取引先の情報、実態と違う見せ方の3つです。ここを守らないと、採用以前に会社の信頼を落としかねません。
| 注意点 | 具体的に気をつけること |
|---|---|
| 安全 | 運転中の撮影やスマートフォン操作はしない。撮影は停車中・車庫・休憩中に限る |
| 取引先の情報 | 荷主名、伝票、配送先の住所や建物がわかる映像を出さない |
| 実態と違う見せ方 | 給与や休日を良く見せすぎない。入社後のギャップは早期退職につながる |
| デメリットも伝える | 早朝の出発や繁忙期など、大変な面も正直に伝えると応募後の辞退が減りやすい |
また、SNSはすぐに応募が増える方法ではありません。成果が見えるまで数ヶ月かかることが多いため、その間の採用は求人媒体やハローワークと併用しましょう。大変な面も隠さずに見せることが、入社後に長く働いてもらうことにつながります。
ドライバー採用のSNSでよくある質問
ドライバー採用にSNSは本当に効果がありますか?
まだ仕事を探していない若手に会社を知ってもらう手段として役立ちます。ただし、すぐに応募が増えるとは限らないため、3ヶ月から半年ほど続けて、問い合わせ数などの数字で判断しましょう。
ドライバーが動画に出たがりません。どうすればいいですか?
顔を出さない形から始めましょう。運転席からの景色、手元の荷締め、トラックの洗車などは、顔を出さなくても撮れます。慣れてきたら、話してくれる人を1人ずつ増やしていきます。
運転中の様子を撮影してもよいですか?
運転中にドライバー本人が撮影やスマートフォン操作をするのはやめましょう。撮影は停車中、車庫、休憩中を基本にし、走行中の映像が必要な場合も安全を最優先にした方法を社内で決めておきます。
ドライバー採用のSNS運用を外注すると費用はどのくらいですか?
株式会社Add Valueの基本のプランは月額30万円(6投稿/月)からで、契約期間は6ヶ月からです。大枠のプランをもとに、初回MTGとヒアリングシートの回答を踏まえてカスタマイズし、認識をすり合わせてから運用を始めます。
まとめ:ドライバー採用は「見つけてもらう」発信から
ドライバー採用では、条件を並べるだけでなく、仕事と人を知ってもらう場所を作ることが大切です。
- 自動車運転従事者の有効求人倍率は2.56倍で、職業計1.08倍の2倍以上
- 求人媒体は探している人、SNSはまだ探していない人に届く。役割を分けて併用する
- ドライバーの1日、運転の技、育て方、働き方、人柄を見せる
- 運転中は撮らない、荷主や配送先を映さないなどのルールを先に決める
- 3ヶ月を目安に続け、問い合わせ数などの数字を見て直す
株式会社Add Valueは、企業ごとに施策を変えながら採用の成果にコミットするSNS運用代行会社です。SNSだけでなく、リクルートやジョブメドレーなどの採用媒体の運用、目標の採用人数から逆算したMeta広告の運用までまとめて支援しています。自社の営業所でどんな発信ができるか知りたい方は、お気軽にご相談ください。
参考情報(確認日:2026年11月6日)
株式会社Add Value 代表
企業ごとに施策を変えながら採用の成果にコミットするSNS運用代行会社を経営。Instagram・TikTok・採用媒体・Threads・YouTube・Meta広告・簡易採用LPまで対応し、約20案件を並行支援。警備会社のSNS採用で問い合わせ200件超、支援先の月間再生数は1,000万回超えなどの実績を持つ。プロフィール詳細はこちら →


